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© Hikita Chisato

アラブの料理をキッチンで

2018.05.03

エジプトのアレクサンドリア出身ヤヒア・ショーシャさんは、日本に30年以上住んでおり、日本語がとても上手です。懐かしい故郷の料理を、アラブからの留学生と一緒に食べる機会をつくりたい。そんな思いで4年前から、アラブ料理のパーティーを開くようになりました。ホワイトボードにはメニューが、アラビア語と英語、日本語で書かれています。参加者の一人、東京工業大に留学中のカリマンさんは仕込みを手伝い。「普段はあまりエジプト料理を作ることはあまりないけれど、自宅でも作ってみたい」と言います。

留学生の友人の友人も招くうちに、気付けばとてもにぎやかな会になりました。たくさんの野菜や肉、見慣れない調味料が並びます。夜には30人以上やってくる予定なので、大きなボールや鍋を使い用意します。小麦粉に塩、バターを加えて混ぜた生地は、しばらく寝かせてからパンにします。細長く伸ばし、黒や緑のオリーブとチーズを包んだら、それを3本合わせて三つ編みに。エジプトではとてもポピュラーなパンで「リボンパン」と呼ばれます。カリマンさんは「懐かしい」とうれしそう。次に、塊の羊肉には少しずつ切り込みを入れ、ニンニクを一かけら、粒コショウを詰めます。表面にも塩コショウを振り、オーブンで焼いたらメーン料理の出来上がり。他にもナスを揚げたり、野菜をサラダにしたりと大忙し。たくさんあるスパイスも目分量でどんどん混ぜこみます。全てを大皿に盛りつけ、隣にある部屋のテーブルに並べると、にぎやかなパーティーのはじまり。焼きたてのリボンパンはしっとり柔らか。オリーブの塩気ととろけたチーズの具がとてもおいしかったです。 

(初出:共同通信社から全国の新聞に配信「異邦人キッチン」:2014)