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© Hikita Chisato

「台湾で写真展をひらいてみたら」リノベーションされた建物に集まるカフェやギャラリーたち

2021.01.17

ギャラリーのお客さんも落ち着いたので、少し街を散歩することにした。近所にあるという国立台湾美術館に行ってみたいのと、その側に一つ気になる場所があったのだ。

気になる場所というのは、ガイドブックに「廃墟化していたが、カフェや菓子店が開店して話題に」と書かれていた忠信市場。

こういう動きはArtqpieが行っている「古い建物をリノベーションし新しく場を作る」という動きにも似ている。韓国でもそんな市場を見たし、日本でも「何でも壊してしまうのではなく、古い物を生かそう」と考える人も多い。

大通りに面した場所には確かにオシャレなカフェや菓子店、さらに、現代アートらしい作品が並ぶギャラリーなどもあった。市場は建物の内部にある。話題になったからか、見物をしているグループがあちこちにいた。建物の中の細い路地は、バイクも通る。

共同の洗面所があって、そこでは普通に顔を洗うおじさんがいたし、二階には生活感溢れるビニール袋や洗濯物が吊るされていた。廃墟のように見えたかもしれないけれど、そこで静かに暮らしていた人々にとっては、突如賑やかになった、若者や観光客が毎日訪れる今の状況は歓迎されているのかなあ?なんて思ってしまった。

でももしかしたら、限界集落に若者が移住するのと同じで、お互い助け合い、仲良く暮らしているのかもしれない。

(初出:幻冬社plus「台湾で写真展をひらいてみたら」:2017)