
2026.07.18
いつもどこでも軽やかに登場し、なんだかご近所にでも住んでいるかのような疋田さんだが、もちろん今のわたしの生活圏とはそんな距離ではなく、いつお会いしても昨日の続き、のようなご本人の魅力的な空気感は作品を見ても随所に溢れているなと思う。勝手に旅人の風と呼んでいる、疋田さんがいつも新たに吹き込んでくれる風が好き。個人的に、大人になってからの節目節目の写真を撮ってもらったりもしていて、風のようであるのにずっと変わらずに身近にある写真館のような安心感もある。疋田さん自身もとても繊細に多くのことに悩んでいたりもするのだけれど、わたしは、その素直な感情、感覚にも救われる思いがするのだ。
疋田さんの見ている境界線のない、わたしたちの日常とも地続きの世界の日常。市場の店先や路上、駅のホームでの食事に、お盆を用意しただけの食卓やカラフルで簡易なテーブル、料理をつくる人、誰かと食事をともにする人、一人で思い思いの時間を過ごす人。おはしのある風景ってなんて親密なのだろう。肩の力の抜けた、人々の平熱の表情から垣間見える生活の確かさに、とてもとても胸が熱くなる。
なかむらあきこ マヤルカ古書店 店主
