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© Hikita Chisato

「悩む人」passing through

2021.01.09

今朝目覚めたら、夫が隣にいなかった。先に起きたときはいつも、ゆっくりお風呂に浸かっていたり、コーヒーを淹れていたりするのに、今日は我が家に人の気配がしない。呼んでも返事はないし、LINEをしても返ってこない。

時計の針は7時を指している。けれど混乱したわたしは、それが朝なのか夜なのかが分からなくなってしまった。ここのところ疲れていたから、20時間くらい眠ってしまったのだろうか。それとも、わたしはちょっと昼寝していたんだっけ…

結局は、夫が9時につくばに集合するという早朝仕事があったことをちゃんと認識していなかっただけ、ただのコミュニケーション不足だったのだけれど、あのときに感じた寂しさ、心許なさ、後悔のような気持ちが忘れられない。いつだって、大切なものを失う可能性は常にあるのだ。

先日、結婚前からお世話になってきた方々との新年会があった。そこで夫が「前から思っていたけれど、あなた少し横柄なところがあるわよ。」と、ダメ出しを受けていた。彼が慕っている方からの言葉だったので、傷付いただろうなと思った。それと同時に、よくぞ言ってくださった!そうだそうだ!と喜んでいる自分もいた。

これまでは、落ち込んでしまうのが分かるから言わなかったのだろうか。それとも、打っても響かないと諦めていたのか。なので今回、言葉を掛けてもらったのは、タイミングと愛なのかなあと、感謝している。

確かにわたしも、結婚当初は彼の愛想の悪さを何度も指摘してきた。マイペースだし、表情も硬い。自分の意見を言う時は、オブラートという概念など知らないという物言いをする。けれど、そこが逆に良いところでもあるし、一緒に暮らしていると分かるのだけれど、実はとってもマメで、柔軟で、優しい人なのだ。どちらかと言うと、我が家で横柄なのはわたしである…

相手を変えようとするより、諦める方が夫婦は円満にいく。とは言え、慣れてしまってはいけないところもあって、このあたりのさじ加減がとっても難しい。その場では「これは天然もので、悪気は一切ないのです。」とフォローもしたけれど、彼を変えなければ!という思いは強くなった。それが彼のためなのだ、本来の彼の良さが伝わるように、改めて厳しく言い続けないといけない!

ただ、今朝の夫行方不明事件があって、もういてくれるだけで良いじゃないか。彼は彼のまま、わたしだけが彼の良さを分かっていれば良いのではないか?そんな気分もしてきた。

ひとまず今日は、忙しい夫を労おう、優しくしたいと思ったのでした。

(初出:WEBマガジン「salitote」:2019 最終回)