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© Hikita Chisato

「悩む人」ストレスへの感度

2021.01.09

40歳を迎えた今月、絶賛体調不良中で、これが40代か!?とおののいている。誕生日の前々日には生まれて初めて目眩で吐いた。これまで、クラっと立ちくらみがするくらいのことはあったけれど、ベッドで横になって安静にしている状態で天井が回るためにいつしか酔ってしまった。このままでは誕生日当日から予定していた台湾旅行はどうなる、とてもじゃないけど飛行機には乗れない。そう思って泣きそうだったけど、翌日にはなんとかかんとか治まった。

しかし台湾に到着すると、また嫌な予感がした。ものすごい数のバイクが通りを走っていて空気がめっぽう悪い。外は日本の真夏に逆戻りで蒸し蒸し暑く、室内はガンガンとエアコンが効いている。案の定、翌日には喉が腫れ始め、滞在中は風邪を押して、日々、撮影したり食べ歩いたりする結果となった。それでも気合で乗り切り帰国。ホッとしたのも束の間、翌々日にはこれまで経験したことのない胃痛に襲われた。夏の疲れが出ただけなのかもしれないけれど、もう、次から次へと不調の嵐。

「またオーバーワークですね、頭に血が上っています。胃痛の原因はストレスかな。」鍼の先生からは気をつけるよう釘を刺されたし、わたしとしても何とか改善したい。しかし、わたしが日々の生活で確かにストレスだなと実感する瞬間は、今のところ車の渋滞くらいだ。カッとなることはあるけれど、常にプレッシャーを受けているような状況ではないと思う。オーバーワーク気味ではあるけど好きな仕事をしているし、逆に仕事がない方がストレス。毎日嫌な上司に会わないといけないような環境ではないし、夫は積極的に家事もしてくれる。親兄弟とも仲が良く、友人にも恵まれているけどな。

ただ、重い肩こりと同じで、自覚が出来ないだけなのかもしれない。ストレスをストレスと感じないくらい鈍感になっているから、身体がサインを出したのではないか?あの胃痛は、本気でなんとかしてよというSOSかもしれない!

一旦そう考えだすと、今度は何もかもがストレスの原因のような気がしてきた。時間に縛られるから仕事はストレス、夫の家事のやり方がストレス、友達付き合いもストレス、理想に向かって努力しながら生きるのもストレス。これでは人里離れ、ひとり山籠りしないと解決出来ないレベルだ。

あるとき友人と、どれくらいの熱があったら仕事を休むか、という話をした。彼女は飲食関係の仕事ということもあり、37度後半だと大事をとるらしい。わたしはフリーランスだから、インフルエンザでさえもなかなか言い出せないと思う。だけど彼女は、わたしなら辞めてしまいそうな上司の下でも耐えて耐えて仕事を続けている。仕事を「短距離走」と捉えるか「長距離走」と捉えるかで向き合い方、取り組み方が変わるし、ストレスの逃がし方も違ってくる。

いったい、人はどこまで頑張った方が良くて、どこからは頑張らなくて良いのか。ストレスに敏感な方が良いのか、鈍感な方が良いのか。頭の中ではそんな問いがグルグルグルグル回っているため、相変わらず頭のてっぺんは熱く、オーバーワークのままだ。

多分わたしは、ストレスをなくすことにストレスを感じている。

(初出:WEBマガジン「salitote」:2017)