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© Hikita Chisato

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スペインのカタルーニャ州出身の男性、ジェラルド・ビニェスさんは、日本に暮らして約3年、大学で栄養についての研究をしています。恋人や同級生とのディナーパーティーに呼ばれ、閑静な住宅街にある一軒家を訪ねました。フランスに隣接するカタルーニャ州は独特の歴史、文化があります。会話で使う言葉はスペイン語ではなく、カタルーニャ語。「標準語と関西弁みたいな違い?」と尋ねると、全く違うよ、と笑うジェラルドさん。

彼が振る舞ったのが、平らな大きな鍋でお米を炒めてからスープで煮る料理。黒いイカスミが食欲をそそります。スペインの代表料理パエリヤに見えますが、またもや「違う!」。地元ではブラックライスと呼んで区別するそうです。地中海に面したカタルーニャは、魚介が豊富。この料理にもイカやエビが使われています。炒めたタマネギに擦り下ろしたトマトを加え、イカと米を入れます。火が通ったところでスープとエビを加え、炒め煮に。本国で作るブラックライスと日本で作るものの違いは、お米だとか。コシヒカリを使うと「もっちりした食感になる」とジェラルドさん。出来上がったブラックライスを食べると、イカスミを使っているのに、意外にもあっさりした味です。

「あ、忘れてた!」と叫んで、ジェラルドさんが作り始めたのが特製ソースのアイオリ。刻んだニンニクに卵黄を加え、オリーブオイルを垂らしながらゴリゴリと鉢の中で混ぜます。これを料理に加えると、ニンニクの強い香りと辛みで、味がぐっと濃くなりました。この日の彼はシェフなみにてきぱきと働き、恋人のライアさんはゆったりとくつろいでいました。なんて素敵な光景!

(初出:共同通信社から全国の新聞に配信「異邦人キッチン」)