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© Hikita Chisato

サラさんとピーターさんのキッチン

2018.05.02

フィリピン系カナダ人のサラさんは、夫ピーターさんの仕事の都合で日本に暮らすようになって、1年半がたちます。3年ほど滞在する予定なので、その間に、たくさん日本の文化に触れたいと考えています。そんなサラさんが通っているのが、都内の料理教室。生徒は日本人、海外からの旅行者、日本に住む外国人とバラエティー豊か。同じテーブルになった生徒たちは、一緒に料理をしながら仲良くなります。

今日は、懐かしいカナダの料理を、教室の仲間たちに紹介するホームパーティー。メイプルマスタードソースのグレーズポークは、メープルシロップの甘みがマスタードの酸味とマッチし、こんがり焼いた豚肉を引き立たせるお料理。日本のお酢、友人からおすそ分けされた銀杏もソースに加え、オリジナリティーを出しました。口に入れるとほんのりとメープルの香りが広がり、幸せな気分。銀杏の苦みも良いアクセントです。「グレーズ」とは、つやつや、てかてか、というニュアンス。ソースがたっぷりかかった豚肉は、こってりとボリューム感があります。

隣には、カナダでお肉料理に欠かせないマッシュポテト。こちらはピーターさんが料理を担当しました。欧米でよく食べられるマッシュポテトですが、牛乳からバターを作る時におまけとして出来る液体、バターミルクをポテトに混ぜるのはサラさんの実家の味。デザートのチョコレートケーキにかけたイチゴソースには、カナダの厳しい冬の寒さを利用して作るアイスワインが使われていました。センスあふれた料理にゲストたちの心が温かくなりました。

(初出:共同通信社から全国の新聞に配信「異邦人キッチン」:2014)