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© Hikita Chisato

「旅先からの手紙」北京

2021.01.09

思い立って、2020年のはじめに北京へ行ってみた。いつか行ってみたいと思っていたこと、1月のスケジュールが比較的緩やかだったこと、友人たちがちょうどイベントを開催している時期だったことがうまく重なった。

中国は、何度か上海を訪れたことはあるけれど、それも随分前のこと。昨年深圳から福建までは巡ったけれど、駆け足の旅だった。今回は今の中国をじっくり観察したくて、北京から動かず予定も詰め込まず、のんびり街を散策することにした。

一番印象的だったのは、大通りがとっても静かだったこと。街を走る二輪車はどれも電動のバイク。自動車やバスもあまりクラクションを鳴らす習慣がないようで、とても穏やかで整った様子だなと感じた。ただ、わたしがこれまで訪れた国々(台湾はものすごい数のバイクで排気ガスにすぐ喉をやられるし、インドではクラクションが一番に壊れると言われているだけあって街中が最強にうるさかった)と比較したからかもしれない。北京に長く住んでいる日本人の方には、中国の道路状況が整然としているとはとても思えない!とおっしゃっていたから。

どこにでも乗り捨てられることで有名な中国のレンタサイクルもあちこちで見ることができた。もし自由に使うことができたら本当に便利そう。ただ、もはや存在を忘れられたように路地裏に放置されている自転車も少なくなくて、管理の難しさが見て取れる。東京で同じことはできないなあと、すでに道が狭くて土地も足りていないのだから、なんてことを思った。

(初出:思い出のかけらを記録する、おぼえがきメディア「明日には忘れる」 :2020)