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© Hikita Chisato

「台湾で写真展をひらいてみたら」お箸とアルプスの風景を持って、いざ台湾へ

2021.01.17

台湾の南部に位置する高雄市で私設図書館を運営しているKiteさんから初めてメールをもらったのは、わたしが台湾の「おはしがある風景」を求め、旅立つ日の2日前だった。「一目見てあなたの写真を気に入った、台湾で写真展を開きませんか?」という英語のメッセージを真に受け、すぐに会いに行った。丸い眼鏡とサラサラのロングヘア、ピョンピョンと飛び跳ねるように歩く可愛いKiteさんと会い、迷惑メールではなかったことが確認出来た。彼女は、高雄に住む人々に、もっとアートに触れて欲しい、面白い本と出会って欲しい、そんな思いで小さな図書館を運営している。

写真展のテーマは任せる。10月から展示スペースが空いているから何かやってみないかと提案された。そのとき台湾を訪れた本来の目的は、わたしが当時テーマにしていた「おはしのある風景」を撮影するためで、その写真は数ヶ月後に「ohashi_to」というタイトルで本にする予定だった。台湾、韓国、そして日本を「おはし」で繋いだ写真集。おはしがありそうな風景や、暮らしの中にあるおはしの写真に加え、それぞれの国の料理レシピも掲載される。その本に連動した写真展はどうかと聞いてみると、賛成してくれた。

再会を約束して日本に帰ったあとも、メールで何度かやりとりをした。「いつでもなんでも力になるから」そう言ってくれる頼もしいKiteさんから、その後もう一つ嬉しい申し出を受けた。台中にある、本屋に併設された新しいギャラリーのキュレーションをすることになったのだけど、そこでも展示をしてみないか、という話だ。

「ohashi_to」の写真を二カ所巡回させることも考えたけれど、せっかくなので別の企画でやってみることにした。長野県の松本市と安曇野市に一年通い、そこで撮りためた「アルプスごはんのつくり方」というテーマの写真で、そちらも本にする予定だった。木工作家、農家、料理家、本屋、そして写真家。「食べること」にいろいろな形でかかわり、それを売って生活している人たちのことを見てもらうのはどうだろう。また、日本の都市や都会の文化に触れる機会は増えていても、地方都市やその周りの地域でどのような営みがあるかはまだあまり知られていない。台湾の人々に、それがどう映るか、何を感じてもらえるのか。

二つの展示がもうすぐ始まる。今から楽しみだ。

(初出:幻冬社plus「台湾で写真展をひらいてみたら」:2017)