INFO

© Hikita Chisato

中国のおはしを観察に④

香港、あるいは上海や北京など、中国の大きな街に行くだけなら、きっとそれほど不安ではない。けれど、今回の最終目的地は中国の中でも地方都市、または小さな町や村に行くことなのだ。旅立つ前、会う人、会う人に「中国へ行ったことはありますか?準備しておいた方が良いことはありますか?」と聞いてまわった。

中国は広い、とにかく広い。いろんなことの検討がつかなかったけれど、googleでの検索やmapの使用、LINEで連絡を取ることが規制されていることだけは知っていた。10年前ならばガイドブックの地図を頼りに町を歩いていたけれど、今ではそれらのアプリなしの旅は考えられない。

逆に中国では電子マネーが広まっているため、現金払いが難しいという話も聞こえてくる。出発する前に中国の二大電子マネーのうちの一つ、WeChat Payに入金する方法を調べ、渋谷にあるマシンで5万円入金した。お札が吸い込まれたときはちょっとドキドキしたけれど、保険を掛けるようなものだ。

ポケットチャージ

香港で宿泊していた重慶マンションからは地下鉄を使い、Hung Hom駅でEast Rail lineに乗り換えた。いくつか入国ルートがあるけれど、翌日乗る新幹線が発着する深セン北を目指し、中心部を通らずに福田から入国することに決めた。香港サイドは「落馬洲駅」が終点。国境には川が流れているため、橋を徒歩で移動する。

橋を渡った先から荷物のチェックが厳しくなり、設備も人も制服もあからさまに変わった。入国審査で中国に来たことがあるか?と聞かれ「10年以上前にある。」と答えたところ、係員の目が光る。「あなたは2年前に上海から入国している!」そう言われて動揺し、今度はこちらの目が泳いだ。何かの間違いだろう、あるいは英語の聞き間違いか?でもあとあとよく考えてみたら、上海経由で台湾に行った際、トランジットまでの時間を街で過ごしたことを思い出した。英語が拙いために見逃されたけれど、英語力や中国語力だけではなく記憶力もないのかと、先行きが心配になる。

通貨は「香港ドル」から「元」へ。香港のICカード「オクトパス」も使えなくなったけれど、深センにはICカードが必要なほどは滞在しない。切符を買おうにも券売機では高額紙幣が使えず、これが中国第一弾のハードルとなる。両替してくれる窓口を探し出し、行列の券売機に戻り、なんとか切符代わりのコイン(トークン)を手に入れたら、深セン北駅まで移動する。

地下鉄で深セン北駅から国鉄の駅に移動するため外に出てみたら、まるで空港のような大きさでビックリする。高速鉄道の発着駅なので、上野や品川のような駅なのだろうか、ものすごい人数の乗客が行き来している。大きな荷物を抱えた人が多く、地方から大都市に仕事を探しに来たのかな?家族に会いに来たのかな?それとも、深セン見物に来たのかな?そんな想像をしながら、しばらく人々を観ていた。

予約していた新幹線のチケットは、窓口でスマホに届いたメールとパスポートを見せるとすぐに発券された。スムーズなのは良かったけれど、投げ返すように渡されたときには「ああ、中国に来たんだな。」と実感した。けれど、10年前とはもちろん、20年前に比べたら別世界の様相だろう。何時間も、どころか、何日並んでも切符が取れなかった時代は何処へ。

Trip.com

その後、少し人恋しくなり、そんなに美味しそうではないけれど優しそうな客引きのお姉さんがいたフードコートで、やっぱりそんなに美味しくなかった麺を食べ、大行列のタクシーに並び、Booking.comで押さえたホテルへ移動。

弘陽酒店

流暢とは言えなかったけれど、フロントには英語が喋れるスタッフもいて、なかなか快適でした。やっぱり広々した部屋、大きな窓、綺麗な浴室は気持ちが良い。その日は念の為、中国に入国することだけを目的にしたため、近所を散歩するくらいで1日を終えた。スマホを使い電子マネーで支払いをしている人の様子を観察しつつ、お店の人にWeChat Payの使用法を教えてもらい、軽い買い食いもした。街にはまだお正月休みの残り香がしていて、お祝いのお花が立ち枯れたまま置かれている。ホテルの玄関なのに、こんな枯れた花を放置するなんて、とチェックインの際に横目で見ながら不安を感じたのだけれど、翌日業者の人が撤去に来ていたので、本当にお正月が終わったばかりのタイミングだったのだった。(植木鉢はその場で割って、ゴミ扱いで片付けていた。ワイルドだった。)