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© Hikita Chisato

「悩む人」チームに憧れて

2021.01.09

どうして結婚したいんですか?三十歳のときに、少し歳下の女の子に聞かれたことがあった。「わたしは家族が欲しい。」そう答えた。

社会人人生のほとんどをフリーランスで送ってきた。カメラマン修行時代は組織に身を置いたこともあったけれど、ほんの束の間だった。何かのプロジェクトをチームで取り組み、共に失敗を悲しみ、成功を喜ぶという分かち合いをしてこなかった。ずっとずっと、憧れを抱いていた。いつの日かわたしは、家族というものにその憧れを投影した。小さな社会、小さなチーム。わたしも所属したい。

ネットに登録し出会いを求めたりもしたし、合コンだって嫌になるくらい行った。婚活という言葉が生まれた頃だったから、案外流行に乗ってしまうタイプなのだろう。とりたてて子ども好きではなかったと思う。けれど、身近に誕生した姪や甥は本当に可愛かったし、いつかは自分も子どもを産むものだと思った。一度体験したいと願い、吸っていたタバコも止めた。パートナーと巡り会う前からそんなことを考えていたから、30代の前半に出会った男性にはことごとく引かれていた気がする。

結局、ずいぶん前から知り合いだった人と夫婦になった。ただ、知人とはいえ互いの本性は知らない。ゴツンゴツンとぶつかり合いながらも、二人で過ごす日々は楽しかった。心身ともに居場所が見つかったような安心感。もし「家族」が欲しかっただけなら、わたしは最高の家族を得たので満足しても良いはずなのだ。

パートナーが見つかる前から、勝手に想像していた「子どもがいる生活」。状況が変わり「パートナーとの子どもが見てみたい」「一緒に育てたい」と心境も自然に変わった。しかし、子どもはそう簡単に出来なかった。授からない、預けてもらえない理由を思ったりもするし、もしかしたら心のどこかで「いなくていい」と思う自分がいるのではないかと疑ったりもする。そんな人生も良いのかもしれないと考える。

今年わたしは40歳だ。今の時代、諦めるにはまだ早い。ただ、諦められないって少し悲しい。いっそ、もう二人チームだよって言ってもらえたら楽なのだ。しかしわたしは、今もチームを広げる夢を見ている。

(初出:WEBマガジン「salitote」:2017)